生地へのこだわり

染め

THE da VINCI COAT 1893のコートに使用している生地は、「スレン染め」と呼ばれる技法で染めた糸を織り上げて作られた「先染め」と言われる生地です。
スレン染めの特徴は、変退色の原因になる水や雨に強く、日光はもとよりあらゆる光にも強いということです。
色は力強く深く、綿のもつ天然繊維の光沢をも際立たせる、糸染スレンだけが成し得る業です。

染料が高価であり尚且つ色合わせが極端に難しいため、日本・世界の誰もがあきらめてしまった道でした。
ダヴィンチコートに積み上がった100年のデータと熟練の職人だけがその色を表現することができます。
120年前、ドイツで発明されたスレン染め。100年前に当時のセールスマンが置いて行った色糸見本はまだ色褪せていません。

織り

ベルギー ピカノール社製の織機を使用し、高密度な綾織りの生地に織り上げます。
また、経糸と横糸の色を変えて組み合わせることで、独特な色合いと光沢感を実現しています。

縫製

日本にはまだ1万件近い大小の縫製工場が存在しています。但し、綿高密度織物でステンカラーやトレンチコートを縫うことができる工場は、0.3%、30件に満たないのではないかと。
分厚く頑丈な生地で芯地を挟み込み、何重にもなった生地を1m以上まっすぐ縫うことは、職人の技術が無ければできない仕事です。

全てのボタンは立ち、襟も思うがままに立つ。
袖を通してその技術の高さがわかります。
コートを知りつくした信頼のおける匠たちが秋田にいます。

理屈なくかっこよく美しいコートが出来上がります。

先染めスレンの特長

世の中に存在している様々な繊維製品は、その品種・用途によって、次のような種属の染料で主として染められています。
直接染料・硫化染料・硫化建染染料・反応染料・建染染料(スレン染料)

繊維の中でも、 繊維素繊維(Cellulose-Fiber) の染色においては、スレン染色は他の種属の染料に較べて、以下のような優位性を持っています。

光に対する堅牢度

セルローズ繊維( 綿、麻、レーヨン、キュプラなど )染色物は、淡色の場合、一般的に弱く色褪せしやすいということが通念です。
反応染料染色物のなかで、 グレー・ベージュ・淡色茶系の耐光性は著しく低く、家庭での洗濯後の天日による乾燥でも極端な変色、もしくは褪色することがありますが、スレン染料染色物は、淡色においても優秀で、色褪せや変色に対して強いのが特長です。

酸性ガスに対する堅牢度

CO2・SO2・NOx 等、大気中の排ガスと繊維に含まれる水分とが合わさると、繊維上に弱酸が生成されます。その弱酸の生成により繊維と染料との結合が切れ、色泣き、汚染といったトラブルが発生しますが、スレン染料は、この様な経時変化による劣化はありません。

塩素に対する堅牢度

家庭における洗濯には水道水が使われますが、水道水に添加される消毒剤としての塩素は、環境汚染の増大に伴って、添加量も徐々に増える傾向にあります。
これらの水道水に含まれる塩素が、洗濯の度に蓄積的に繊維に影響を与え、退色又は脱色といったトラブルを惹き起こします。このようなトラブルは、反応・直接・硫化染料染色物にみられますが、スレン染料染色物は、これらの影響を受けることがありません。

最近、一部の洗剤に酸素系漂白剤の添加されたものが市販されましたが、これを使用すると、反応染料染色物の退色が認められ問題となりました。スレン染料染色物では、このような問題も起こりません。

汗と日光に対する堅牢度

強烈な太陽の下で汗をかくスポーツでは、汗がウェアーにしみて、汚く変色をしていたということがあります。これは、汗と日光の照射という要因の組み合わせで発生するトラブルです。反応染料染色物には、このようなトラブルを起こす要因が多分にありますが、スレン染料染色物には、このような問題は全くありません。